『救命病棟24時』第6シリーズを見て、「手術みたいな場面なのに、医師が帽子やマスクを付けていないのは大丈夫?」と気になった人もいるはずです。
結論からいうと、手術中の部屋では帽子を付けるのが基本です。ただ、救命救急センターで行う処置がすべて手術とは限りません。帽子がない1カットだけで「医療描写がおかしい」と決めるのは少し早いです。
- 手術中の部屋では帽子・マスク・手術用の服を着けるのが基本
- 帽子は髪などが手術する場所へ落ちるのを減らすために使われる
- 救急外来の診察や処置は、手術室での手術と服装の決め方が同じとは限らない
- 帽子の形や耳まで覆うかどうかは、帽子を着けるかとは別の話
- 『救命病棟24時』の帽子なし描写について、制作側が理由を説明した公式発表は出ていない
手術中に帽子を付けないのはあり?手術室では着用が基本
手術を行っている部屋では、帽子を着けるのが基本です。
厚生労働省が公開している院内感染防止の資料には、手術中は帽子、外科用マスク、手術用の服を着ける必要があると書かれています。手術をする医師の場合は、さらに清潔なガウンを着用します。
現在の病院でも、同じようなルールがあります。北海道大学病院が2026年3月に更新した手術部の感染対策マニュアルでは、手術部の清潔な区域へ入るとき、頭髪を手術用帽子ですべて覆い、鼻からあごまでマスクで覆う運用です。
熊本赤十字病院でも、手術センターの清潔区域では術衣・帽子・マスクを着けます。帽子には、髪や頭から落ちるものが手術する場所へ入るのを減らす目的があります。

そのため、手術室で本格的な手術をしているのに、手術する医師がずっと帽子を付けていないなら、一般的な手術室のルールとは違って見えます。
ただし、「帽子なし=法律違反」ではありません。厚労省の資料は感染を防ぐためのルールを示したもので、帽子を外しただけで直ちに法律違反になるという内容ではありません。
手術室で帽子をかぶるのはなぜ?髪などが落ちるのを減らすため
手術帽は、みんなの見た目をそろえるためにかぶっているわけではありません。
人の体からは髪だけでなく、目には見えにくい小さな皮ふのかけらなども落ちます。手術する場所へそうしたものが落ちるのを減らすため、頭や髪を覆います。
米国の手術看護の専門団体AORNも、手術室の決められた区域へ入るときは頭皮と髪を覆うよう案内しています。髪が帽子の中に収まり、周りへ落ちるのを防ぎやすい大きさの帽子を選ぶこともポイントです。
「耳まで隠す帽子が一番いい」とまでは言えない
ここは少し話が分かれます。
米国外科学会など複数の団体が出した共同声明では、耳まで覆うことを必ず求めるだけの十分な根拠はないとされています。
帽子の種類や、髪をどこまで覆うかによって、手術した場所の感染率が変わることもはっきりしていません。
ただし、これは「帽子そのものに意味がない」という話ではありません。頭や髪を覆うことと、どんな形の帽子が一番よいかは別の話です。
まずは「手術室では頭や髪を覆うのが基本」。そのうえで、耳まで覆うか、どの形の帽子を使うかには別の議論がある、と分けると分かりやすいです。
救急処置と手術では帽子のルールが同じとは限らない
『救命病棟24時』を見るうえで、一番大事なのがここです。
救命救急センターでは、運ばれてきた患者を最初に診たり、心臓マッサージをしたり、呼吸を助ける管を入れたり、傷の処置をしたりします。
こうした処置を全部「手術」と呼ぶわけではありません。救命救急センターの現場で救急救命士が担う役割は、院内救急救命士・澤暢介の記事で整理しています。
厚労省の資料でも、通常の医療では血液や体液に触れる可能性などに合わせて、手袋、マスク、ガウンなどを使う考え方になっています。手術中の帽子・マスク・手術用の服とは、分けて書かれています。
つまり、「救命救急センターにいるのに帽子がない=おかしい」とは言えません。見るべきなのは、その場所と処置の内容です。
| 場面 | 見るポイント |
|---|---|
| 手術中の部屋 | 帽子・マスク・手術用の服を着けるのが基本 |
| 手術用の器具を広げた部屋 | 手術室の感染対策に合った服装になっているかを見る |
| 救急外来・初療室 | 処置の内容や感染の危険に合わせて防護具を使う |
| 緊急手術 | 「急いでいるから帽子なしでよい」とはならない |
特に緊急手術について、「時間がないから帽子なしでもOK」と考えるのは違います。手術室に入って手術をするなら、その場所の感染対策に合わせるのが基本です。
逆に、救急外来で行っている処置を、手術室とまったく同じ服装だけで判断するのも正確ではありません。



『救命病棟24時』の帽子なし描写はおかしい?
『救命病棟24時』第6シリーズは、都立第三病院の救命救急センターを舞台にしています。
第1話の放送中には、救命救急科で働く白石淳医師もXで帽子とマスクについて触れていました。
マスクや帽子をつけないのはドラマだからしょうがないね。 #救命病棟24時
— 白石 淳, 救急医 / Shiraishi Atsushi, MD, PhD (@shiraishia_md) October 12, 2026
白石医師は亀田総合病院の救命救急科部長で、救急科専門医・指導医です。
ただ、この投稿は白石医師個人の感想です。フジテレビや番組の医療監修者が出した説明ではありません。
一方で、実際に救急医として働く人も帽子やマスクに目を止めているので、テレビを見て「あれ?」と思った視聴者がいるのも自然です。
帽子なしの場面だけでは医療監修ミスとは決められない
2026年10月12日時点で、フジテレビ公式サイトには、話題になった場面で帽子やマスクを付けていなかった理由についての説明は出ていません。
そのため、制作側がどんな考えでこの映像にしたのかまでは公表されていない状態です。
ここから先は考察になりますが、救命ドラマでは手術室だけでなく、救急外来や初療の場面も多く出てきます。画面だけでは場所の違いが伝わりにくく、その結果「手術なのに帽子をしていない」と見えた可能性も考えられます。
逆に、今後の放送や公式の場面写真で、はっきり手術室で手術中だったと分かれば、実際の手術室ルールとの差はより大きく見えてきます。
個人的には、制作側や医療監修から「この場面はこういう処置だった」と説明が出たらぜひ見てみたいところです。医療ドラマはこういう細かなところまで分かると、また違った楽しみ方ができます。
ドラマを見るときは3つをチェック
帽子が気になったら、まず場所を見ます。「手術室」「オペ室」と分かる表示や会話があるかどうかです。
次に、何をしているのかを確認します。本当に手術なのか、それとも診察や救命処置なのかで話が変わります。
最後は周りの準備です。ばい菌が付かないように処理した手術器具や、手術用のガウン、手袋などがそろっているかを見ると判断しやすくなります。
この3つがそろって「手術中の部屋」と分かるのに帽子がないなら、現実の一般的な手術室との違いはかなりはっきりします。
まとめ
- 手術中の部屋では帽子・マスク・手術用の服を着けるのが基本
- 帽子は髪などが手術する場所へ落ちるのを減らすために使われる
- 帽子の種類や耳まで覆う必要性は、帽子を着けるかとは別の話
- 救急外来では、処置内容や感染の危険に合わせて防護具を使う
- 救急医の白石淳医師もXで帽子とマスクに触れたが、個人の感想であり制作側の説明ではない
- 『救命病棟24時』の帽子なし描写を医療監修ミスとする公式発表は出ていない
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